テーマ5 期待水準以上の仕事を行う
目標設定、行動計画策定、実績管理(目標達成)、業務改善のPDCAの経営サイクルを、
スパイラル状に回し業績アップを図っていくのが、リーダーにとって最重要の仕事となります。
そのため日頃、常に行わなければならない基本作業は次の2つとなります。
・自分の担当業務のお客様一人ひとりの状況、声を、常に把握する。
・業務のあらゆる面での、小さくてもよいので継続的な改善を実施し積み重ねる。
上記の内容を実際に具現化するのが、お客様一社一社、お客様一人ひとりに対し
PDCAをスパイラル状回すことを実践することとなります。
言い換えますと、お客様に対し、期待水準以上の仕事を継続的に行うこととなります。
1.期待水準の考え方
お客様があるお店から商品を購入する前に心に描くイメージを期待水準とし、
購入後の感想、評価を購入後の評価とした場合、期待水準と購入後の評価の関係、
その際のお客様の反応は、次のように表せます。
(1)期待水準より購入後の評価が低い場合 期待水準>購入後の評価
10,000円の商品を購入し、購入後の評価が、8,000円の場合。
お客様の反応
・2度とその店からは購入しようとはしない。
・友人、知人に自分の不満を伝える。
『サービス・マネジメント』(カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ共著、ダイヤモンド社)
より引用します。
・不満を持った顧客の96%は、企業に対して何も言わない。
一般にクレームが1件あると、問題を抱えた顧客が他にも24人存在することになり、
そのうち6件は深刻な問題なのである。
・企業とのビジネスに問題があると感じた顧客は、平均9〜10人にその事実について話す。
特にその13%は、20人以上にも話をする。
ハインリッヒの法則
この法則は、労働災害における経験則の1つであり、1つの重大事故の背景には、
29の軽微な事故があり、その背景には300のヒヤリハットが存在するという法則です。
現在は、ハインリッヒの法則は、仕事上のミスの発生確率としても活用されています。
例えば1件の大きなミスの背景には、29件の顧客から寄せられたクレームがあり、
さらにその背景には、300件の小さなミスがあるということです。
クレーム1件につき、問題を抱えた顧客が24人存在するということは、
29件のクレームに関しては、696人の不満客がいるということになります。
このように、10,000円の商品を購入し、お客様の購入後の評価が、
8,000円の場合は、企業の致命傷となる可能性があります。
(2)期待水準と購入後の評価が同じ場合 期待水準=購入後の評価
10,000円の商品を購入し、購入後の評価も、10,000円の場合。
お客様の反応
・競合他社が、同じ値段で品質がもっと良いもの、同じ品質で、
低価格の商品をつくったら、次回からはそちらの店へ行く。
期待水準と購入後の評価が同じ場合は、自店の確実な固定客とはならず、
必ずしもリピートを期待できない状況となります。
(3)期待水準より購入後の評価が高い場合 期待水準<購入後の評価
10,000円の商品を購入し、購入後の評価が、12,000円の評価の場合。
お客様の反応
・良い意味での驚きがあり心が動かされ感動客となる。
・固定客となりリピートが期待できる。
・友人、知人に紹介してくれる。
お客様に提供する商品やサービスには、現状にプラスαの付加価値を付けた
常に期待水準以上の成果が求められます。
これが仕事の厳しさでもあります。
また期待水準以上の成果を上げ続けるためには、継続的業務改善が必要となります。
2.お客様一人ひとりのPDCAの実務
(1)目標設定、行動計画策定にあたっての留意点
@既存のお客様との信頼関係を強化する
新規顧客と既存顧客に関わるコストと利益との関係に
「1:5の法則」「5:25の法則」という法則があります。
1:5の法則
販売コストを比べると、既存顧客:新規顧客=1:5、
つまり、新規顧客獲得には既存顧客にかけるコストよりも5倍のコストがかかるというものです。
5:25の法則
顧客離れを5%改善すれば、その利益率は25%改善されるという法則。
既存顧客は、友人、知人への紹介などを通じて、新たな顧客を連れてきてくれる可能性や、
次回の購入時に、前回よりも高額な商品を購入する可能性も高くなります。
既存顧客には新規顧客のような商品説明が不要になるケースもあるため、
販売コストが下がることも期待できます。これらを合わせると、
顧客離れを5%改善すれば、その利益率は25%改善されるということになります。
新規のお客様の開拓も、もちろん重要ですが、
まずは、既存のお客様との信頼関係を強化し、売上増加や利益率アップを図ることが必要です。
Aお客様の声を聞く
定期的にアンケート調査を行う、定期的に営業マンがお客様の所へヒアリングに行く、
製品の製作担当者が、納品先に使用状況をヒアリングに行く、
このような方法などにより「お客様を知る」ことを意識的、計画的に行います。
仕事を行っている時に、今後どうしてよいか分からない、
今後、打つべき方策が分からないということが往々に起こります。
そのような状況の時には、「お客様の声を聞いていない」、「お客様を知らない」、
「現場で起きていることを把握していない」という可能性が大いにあります。
お客様の声や現場の声を聞いていると、次に行わなければならないことが、
数多く発見できることが多々あります。
Bお客様一人ひとりに対する行動計画を策定する
顧客管理とは、一人ひとりのお客様の問題です。把握した「お客様の声」を踏まえて、
お客様一人ひとりに対する施策を考えることが必要です。
(2)進捗管理(実績管理)、業務改善にあたっての留意点
お客様一人ひとりに対し行った施策の結果の評価を定期的に行います。
評価の結果を踏まえて、お客様の声を踏まえたさらなる改善を行います。
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